ポリアモリーに嫉妬はないの?複数恋愛実行委員会のガイドライン策定会に潜入してきた

最近、巷で度々話題になっている“ポリアモリー”
同時期に双方の合意の上、複数の相手と性愛関係を持つポリアモリーは、複数恋愛とも呼ばれています。

しかし、「恋愛=1対1でするもの」と考えている人からすると

「複数恋愛って何?浮気や不倫とどう違うの?」
「双方で合意をしているとは言っても、嫉妬はしないの?」

など、様々な疑問が浮かぶことでしょう。

そこで今回は、複数恋愛実行委員会が主催する2018年定例会「複数恋愛ガイドライン策定会」にお邪魔させていただきました。

ポリアモリーで生じる可能性が高い、嫉妬や不満。事前にルールを決めておくことで、それらの負の感情をできるだけ防ぎ、関係者全員がハッピーな複数恋愛をできるようにと企画されたイベントです。

ポリアモリーって何?複数恋愛実行委員会とは?

恋愛において、私たちは知らず知らずの内に

・性的な興奮
・恋愛としてのトキメキ
・経済的な依存相手
・精神的な依存相手

など、パートナーに多くのことを求めています。
しかし、上記の全てを1人の人に求めることは、時として相手への重荷に。また、上記の全てを叶えられる人などなかなかいないため、喧嘩の原因にもなってしまいます。

一方、ポリアモリーは

・1人の相手に全ての素質を求めない
(相手の得意なところ、魅力的なところだけを求める)
・複数の相手から、それぞれ異なる素質を与えてもらうことで、バランスを取る
・愛情を交換する人の人数が増えるため、幸福度も高くなる

という考え方に基づいており、複数の相手と恋愛関係を持つことで、より平和に、よりハッピーに生きていくことを目的としています。

恋愛感情しか湧かない人、性欲しか湧かない人、精神的安らぎしか湧かない人がいた時に、“それぞれの人とお互いが納得できる形で関係を築けたら良いよね”というイメージです。

複数恋愛実行委員会は、そんなポリアモリーな方々が有志で集まった団体。主に以下の3名が中心となり、活動しています。

①LGBTエッセイスト・礼司氏
Xジェンダーであり、LGBTである礼司氏
自身のブログ「ボクイキ」では、そんな礼司氏だからこそ見える世界を発信している。
現在は、ポリアモリーシェハウス「東京ポリーランド」や添い寝サービス「RAINY PROJECT」など、オフラインでも様々な活動を進めており、テレビやWEB、様々なメディアで取材されている。

②パラレルクリエイター・ナナシロ氏
デザイナー、Webエンジニア、ライター、イラストレーター、映像クリエイターと5つの肩書きを持つナナシロ氏
2012年より、怪談師Youtuberとしても活動を広げる。
添い寝屋として活動していた過去も持ち、恋愛経験も豊富なことから、恋愛ライター、恋愛コンシェルジュとしても活動中。

③文筆家・きのコ氏
現在進行形で複数恋愛をしているきのコ氏
わたし、恋人が2人います。〜ポリアモリー(複数愛)という生き方〜/WAVE出版」の著者。
自身の経験を元に、ポリアモリーという生き方のリアルを社会に発信している。

「自分の恋愛のスタンスは?」まずは個人ワークからスタート

今回のイベントは「複数恋愛ガイドライン策定会」
より平和に、ハッピーに生きていくことを目的としてポリアモリーですが、一歩間違えば嫉妬や不満が溢れ出し、ドロドロの恋愛を生み出してしまいます。

そこで委員会の3名と、ポリアモリー当事者・または興味がある参加者12名の合わせて15名で、ガイドラインを策定しました。

まずは、個人のワークから。

1.自分のスタンスを考えてみる
2.ポリアモリーガイドラインをまずは自分で考えてみる

という2つのお題に対し、それぞれ自分の考えをまとめます。

実際に参加者の方が記入したシート①

皆さん、真剣に考えており、配られたシートにびっしり記入していました。

実際に参加者の方が記入したシート②

中には、「性・自由・お金・子供」などの柱を立て、図解のように考えをまとめている方も。

一般的に、「自分の恋愛観をまとめてください」と言われた時に、ここまでしっかり細かく書ける方は少ないのではないでしょうか。1対1の恋愛に疑問を感じ、真剣に悩んだり、考えたりした経験があるポリアモリーの方たちだからこそ、しっかりと自分の恋愛観を認識できているのかもしれません。

共通するのは、こまめなコミュニケーション!10のルールを考えるグループワーク

個人ワークが終わったら、3つのグループに分かれてそれぞれのシートを発表。
それを元にチームごとに話し合って10のルールを策定し、最後に全員に共有します。

もはやマルチタスク!?スケジュール管理・情報共有を徹底した、チームA

きのコ氏を含む、チームAが考えたルールはこちら。

1.関係者全員の顔合わせを行う。
2.互いに情報公開
3.共通の相談相手をつくる
4.性病の定期検査
5.Googleカレンダー共有
6.週1回話し合いの時間をつくる
7.将来やりたいこと、やってみたいことを口に出す
8.一緒にいて何か他のことをする時は、時間を伝える(リソースの共有)
9.口に出せないことは合言葉やハンドサインを決める(LINE、ラブレターでも可)
10.付き合う前のチェックリストを作成する
(※順不同)

上記が決まるまでの話し合いを聞いていたところ、チームAでは“どうすれば嫉妬や喧嘩が起きないか”という問いに対し、“スケジュールリングや情報共有をしっかりと行う”という趣旨の解決策が多く出ていました。

複数で恋愛をすると、どうしても1人に避ける時間が少なくなってしまいます。恋愛だけでなく、仕事や趣味の時間もしっかり確保するとなると、尚更。
「どうして最近会えないの?」「私のために使う時間はないの?」という不満を阻止するため、徹底したスケジュールの管理・共有を行えば良いという意見が出ました。

また、「相手が何を考えているのか分からない」「何か言えないことがあるのかな…?」という不安もトラブルや嫉妬の元。それらを未然に防ぐため、週に1度の話し合いや、関係者(お互いの複数パートナー)全員での話し合い、口で伝えられないことは他のツールを用いて伝えるなど、こまめな情報共有も重要視されていました。

話を聞いていると「なるほど」と思うことが多いものの、ルールとしてまとめてみると、まるで仕事のようです。
確かに上記をルールを実行すればトラブルは減りそうですが、「恋愛をしている気持ちになれるのか」は人によるかもしれません。

チームAと被るところが多々あり!対等性を重視したチームB

次に発表したのは、礼司氏がいるチームB。
出た案はこちらです。

1.定期的にSTD検査(性病・性感染症)を受け、共有
2.カレンダー共有
3.言いづらいことは、定期的に共有ノートや交換日記を用いて伝える
4.最初にルールを決め、定期的に見直し→スタンス共有
5.お金はケースバイケース(デート代はデート内容の希望を出した方が支払う)
6.嘘はつかない
7.自分のリソースの共有
8.「ポリアモリーとはこうだ!こうであるべき!」をつくらない
→各々の関係の中でつくっていく
9.合意・コミュニケーションの上でセックスをする

時間が足りず、9個までしか出なかったようですが、チームAと重なるルールが複数目に入ります。

・性病検査
・スケジュール(カレンダー)共有
・直接伝えづらいことは他のツールを用いて伝える
・初めに一緒にルールを決める
・リソースの共有

などは両チームに共通。
チーム関係なく、複数の相手と同時に恋愛を行う際に対等性や平等性を保つためには、お互いのリソースや情報共有・こまめな話し合いが重要だと考える人が多いようです。

また、“「ポリアモリーとはこうだ!こうであるべき!」をつくらない”ということを、あえてルールにしてしまうというユニークな面もありました。
1対1という従来の恋愛の型にはまらないポリアモリーだからこそ、“関係者ごとにベストな在り方を話し合って決めていく”ということに重きを置くのでしょう。

コミュニケーションを怠らず、お互いの意見を尊重し合えれば良いのでは?チームC

最後の発表は、ナナシロ氏がいるチームC。
こちらのチームは、ディスカッションが白熱したあまり、時間内に10のルールに絞ることができなかったそう。

しかし、様々な意見の共通点をまとめたところ“こまめなコミュニケーションを大切にし、お互いの意見を尊重すること”という結論に至ったのだとか。
お互いに複数の恋人がいるポリアモリーだからこそ、自分の意見をしっかりと相手に伝える努力、相手の意見をしっかりと受け止める努力を意識的に行わなければ、相手が何を考えているのか、分からなくなってしまいます。

“きっと相手もこう思っているだろう”と勝手に思い込むのではなく、都度丁寧なコミュニケーションの場を設けることで良い関係が継続できるのでは?というお話でした。

ポリアモリーでもそうでなくても、大切なのは丁寧なコミュニケーション

全てのチームの発表を聞いていると、ポリアモリーである以上、“自分の恋人が他の人とも恋愛関係にあること”自体に嫉妬を抱く人はいないよう。
しかし、“自分の希望を理解してもらえない”“理由も分からず自分に時間を割いてもらえないこと”が、不満や嫉妬、トラブルの元だと考える人が多くいました。

これは、ポリアモリーに関わらず、1対1の恋愛にも言えることです。大切に思う人と恋愛関係を築くのであれば、“こまめなコミュニケーション”“お互いの意見の尊重”は必須。
「自分はポリアモリーかも?」と思う人もそうでない人も、目の前の恋人のことを理解する努力自分の気持ちを伝える努力を怠らず、自分も相手もハッピーな恋愛をしましょう。

そして、1対1でもすれ違いが起こりやすい恋人同士のコミュニケーションを、複数人と同時に行うのであれば、それ相応の器やスキルを身につけた方が良さそうです。