男性ホルモンが低下するとオトコはダメになる!?小堀善友先生に予防法を聞いてみた

男性が年齢を重ねるにつれて、落ちていく体力、気力、性力。

これらの原因は加齢によるものでもありますが、深く関わっているのはそれだけではありません。
実は、男性ホルモンもオトコの衰えに深く関係しているのです

多方面でよく話題にあがる男性ホルモンですが、「そもそも男性ホルモンってなに?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、本メディアでも射精の回数は多いほうが健康になる?!精子を元気にする方法を小堀善友先生に聞いてみたなどの記事にもご協力いただいた、獨協医科大学・越谷病院泌尿器科の小堀善友先生に男性ホルモンについて、お話を聞いてきました。


小堀善友先生 泌尿器科医。金沢大学医学部卒業。2009年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科に勤務。2014年より米国イリノイ大学シカゴ校へ留学し、スマートフォン精液検査の研究を行った。専門は男性不妊(特に射精障害)、性感染症。読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」にてコラム連載中。著書に『妊活カップルのためのオトコ学』(2014年・メディカルトリビューン)がある。また、不妊症eラーニングである『こうのとりラーニング』を開発した。

男性ホルモンが分泌されて「オトコ」が作られる!

− まず、男性ホルモンというのはなんなのでしょうか?

小堀先生:「そもそも、人間の体の原型は『女性型』なんです。男性が持つY染色体の中にあるSRYという遺伝子があることで精巣ができて、そこから男性ホルモンが分泌されることでクリトリスがペニスに、陰唇が陰嚢に変わっていきます。これは私の意見ですが、それゆえに『男と女は対となるものではなく、繋がっている』と考えています」

− 女性型から男性ホルモンによって男性になると。そう言われると確かに対ではなく繋がっている気がしますね…!ということは、男性ホルモンは「オトコ」を作る源であるということですか?

小堀先生:「そうですね。男性ホルモンは、男性の体も心も『オトコらしく』させていくために必要なホルモンです

− 「オトコらしくさせる」ということは、それこそ男性特有の前立腺や陰嚢に作用してくるということですか?

小堀先生:「いえ。男性ホルモンは、セックスに必要な前立腺や陰茎だけに関わるわけではありません。脳、骨、筋肉、血液、血管、脂肪、腎臓、毛嚢腺、皮脂腺などに作用します。男性ホルモン(=※テストステロン)があることで、筋肉量が増え、内臓脂肪が減少しますが、中年期以降でテストステロンが低下するとメタボになってしまいます」
※テストステロンは男性ホルモン量を計測する際に指標にする男性ホルモンの一種。簡単に言うと、男性ホルモン=テストステロンということになる。

− 男性ホルモンが減っていくことで、男性の身体は劣っていくということなんですか?

「そうですね。また、身体だけでなくテストステロンが脳に作用することで、積極性が増します。言葉を変えると、攻撃性が増すことになります。つまり、『男性性』があがるんです」

男性ホルモンが低下すると「身体にマイナス」なことしかない!?

− 男性ホルモンが非常に大事なことがわかりました…!!では、男性ホルモンが低下してしまう原因はなんなのでしょうか?

小堀先生:「基本的には、加齢が原因で精巣機能が低下すると男性ホルモンが低下していきます。女性は閉経というイベントがあり、その時点でホルモンが一気に低下するのですが、男性は人それぞれゆっくりと低下していくのでわかりづらいのです

− では男性については、具体的に「何歳から減少する」というのはわからないんですか

小堀先生:「そうですね。何歳から減少するか、というのも人それぞれです。但し、男性ホルモンが低下することで、様々なことが起きます。例えば、なんとなく元気が出ない。筋力が低下して脂肪が増えた。節々の痛み。骨粗しょう症。勃起障害などの性機能障害。ヒゲが薄くなる。朝立ちがしなくなる。などなどです。だからこそ、なるべく男性ホルモンを低下させない生活が大切になってくるのです

− 男性ホルモンを低下させないには、どうすればいいのでしょうか?

小堀先生:「基本的には、できるだけ老化しないような生活を試みることで、精巣を老化させないということです。これは不妊症の治療とも関係してきます」

− いわゆる健康的な生活を送るということですか?

小堀先生:そうですね。例えば、1)よく睡眠をとる、2)運動をする、3)痩せる、4)タバコを吸わない、5)健康的な食生活を送る。といった生活です。また、筋トレなど筋肉を鍛えることも男性ホルモンの上昇につながります。なお、糖尿病や高血圧などの生活習慣病は男性ホルモンの低下を招きますので、やはり健康的な生活はとても大事なんです」

− 睡眠、運動、食生活と基本的なことが大事になってくるんですね。そして筋トレもいいんですか…!筋肉もつくし男性ホルモンの減少も抑えられる。一石二鳥ですね。

小堀先生:「また、個人的にはコエンザイムQ10などの抗酸化のサプリメントは効果があるのではないかと考えています。ちなみに、運動は良いと言いましたが、自転車は会陰部や陰茎、精巣の微小血管を損傷するため、勃起障害や不妊症の原因となり、精巣へダメージがあります。なので、やり過ぎ注意です」

− では、仮に現在男性ホルモンが減少してしまった…先ほど仰っていた症状に自覚がある人は、改善する方法ってあるんですか?

小堀先生:「結局のところ、低下してしまった男性ホルモンは補充するしかありません。日本国内で医療として認められていて、男性ホルモン補充する方法としては、病院でエナルモンというテストステロンの注射を3〜4週間ごとに打つことしかないのです。また、※OTC薬としてテストステロンの塗り薬も個人的に購入することができます」
※OTC薬とは一般医薬品のこと。薬局・薬店・ドラッグストアなどで販売されている医薬品を指す。

− なるほど…!とにかく減らさない努力をしなければならないんですね!

小堀先生:「ちなみに、海外では、内服や手術にてテストステロンの※徐放剤を埋め込む方法なども認められております。アメリカは日本よりも男性ホルモン補充が盛んであり、『痩せ薬』として男性ホルモンが投与されることがあります」
※徐放剤とは、徐々に成分が放出されるように工夫された薬のこと。

指の長さで男性度がわかる!?近年の研究でわかってきたこと

小堀先生:「最後に、最近の研究でわかってきた『自分が男性的かどうかわかる方法』を紹介します。2D:4D比というのがありまして、それは胎児期に母親の体内で男性ホルモンの暴露(テストステロンシャワー)をどれだけ受けたかの指標の一つなんです」

− なにやら難しい感じがしてきましたが…!

小堀先生:「そのため、2D:4D比は男性脳か女性脳かの指標にもなるのではないか?ということですね。そして、男性ホルモン(アンドロゲンもしくはテストステロン)の暴露が多ければ、手の薬指の発達が促されるということがわかってきたんです

− なんと!!!ということは、薬指が長ければ男性的であるということですか?

小堀先生:「はい。但し、ポイントは右手の薬指です。右手は昔から大きく性差があるとされており、より多くのアンドロゲンの影響受けるとの報告があるんですね。長さを比べるには同じ手の人差し指より長いか短いかが指標になってきます

− ちなみに、男性脳である…つまり、右手の薬指が長いと具体的にはどのようなことがあるんでしょうか?男性ホルモンを多く持っているということにもなり得るのでしょうか?

小堀先生:「そうなりますね。だからこそ、様々な論文によると、行動学において男性も女性も2D:4Dが低い(薬指が長い)と攻撃性が上昇することと、支配性が高いことが知られています。また、男性では2D:4Dが低いほど、女性では2D:4Dが高いほど性的に興奮しやすく、子供の数も多いことなどがわかっています」

− そうなんですか!!!

小堀先生:「さらに、British Journal of Cancerによると、薬指よりも人差し指の長い男性は、そうでない男性に比べて前立腺がんの発がんリスクが1/3以上低く、60歳以下の男性ではさらに低いという研究もあるんです。なので、『男性的である』ということは、男性がなる病気にもかかりやすい反面、男性性が高いであるということですね」

− ちょっと周りの人たちの薬指に注目してみます。本日はありがとうございました!

男性ホルモン減少すると大変!健康的な生活をしよう!

男性ホルモンは非常に大事なものである…ということが、今回小堀先生のお話を聞いてわかりました。

減ってしまうと男性の身体にとってマイナスなことばかりおきてしまうと同時に、一度減ってしまった男性ホルモンは戻ってきません。

だからこそ、若い内から男性ホルモンを減らさない努力が大事であり、そのためには健康的な生活…食べ物に気をつけ、しっかり運動することが必要不可欠なのです。

健康は男性にとって一番大事なことだと言っても過言ではありません。ぜひ、この記事を読んだことを機に、明日から健康に気をつけて男性ホルモンを減らさない生活をしていきましょう!